約 1,207,314 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/678.html
「はい、おとうさん、これっ」 特に手をかけたチョコレートを渡した後、じゃれつくように圭太郎に甘えるラブ。 ある日を境に、ラブ、いや桃園家の家族の言葉や表情や仕草は大げさなものになっていた。 ――まるで足りない何かを埋めようとするかのように 窓辺に座って部屋を見渡した。 「こんなに広かったかなあ」 少し前まで、シフォンが居て、タルトが居て。 (らぁぶぅ) (あぁ、シフォン、それさわったらあかんて!) 「シフォンとタルトにもチョコレートあげたかったな」 あ、でもスイーツ王国だもん。いっぱい周りにお菓子あるもんね。 毎日、せつなと遅くまでずっとこの部屋でお話してたっけ。 (ねぇ、ラブ、そろそろ寝ないと明日起きられないわよ) 「せつなはどうしてるかな」 せつな、あたし元気だよ。 毎日とっても楽しいんだ。 今日はね、バレンタインデーって日なんだよ。 大好きな人にチョコレートをあげて想いを伝えるの。 由美に、美希たんは……会えなくて。ブッキーに、カオルちゃんに、 ミユキさんに……も会えなくて。おとうさんにさっきあげてきたんだ。 本当はね、せつなにあげたかったんだ。一番心がこもった大きいの。 さっきね、せつなの部屋に置いてきたんだよ。 おっきく、せつな大好きって書いてあるの。 大丈夫、あたしは寂しくないよ。 「おやすみ、せつな」 畳のベッドに横になる。その時、鏡台が光を放ちだした。 ――えっ 何かが出てくる。 赤い包装紙に包まれた小さな箱。 赤いチューリップみたいな形の見たことのない鉢植え。 ――これって となりの部屋に走った。 やっぱり……無い。あたしが置いたチョコレート。 せつな? せつななの? せつなだよねっ!? 「せつな、どこっ! せつな! せつな」 居ない。ベランダにもどこにも。 部屋に戻って包みを開けてみた。 「私も大好きよ。ラブ」 ただ、それだけが書かれていた。 涙が溢れてくる…… やっぱり、せつなだったんだね。 ――赤いチューリップの花言葉 それは「愛の告白」―― ありがとう、せつな。きっと、すぐに、また会えるよね。 競-486はせつな視点で
https://w.atwiki.jp/ffwm/pages/40.html
桃園ラブ&キャスター(溝呂木眞也)◆k7RtnnRnf2 00/ヒカリを取り戻した悪魔―メフィスト― 桃園ラブは星空を見上げていた。 『スノーフィールド』という名前のパラレルワールドが、どんな場所なのかを彼女は知らない。手元にあったスマートフォンによると、聖杯戦争という戦いの舞台になっている世界らしいけど……実感が湧かなかった。 だけど、今が只事ではないのは理解できる。リンクルンで蒼乃美希達と連絡しようとしたけど、何故か繋がらない。ピルンも不調を訴えているように、身体を捩っていた。 「ピルン……大丈夫だよ。あたしは、プリキュアの力で誰かを傷付けたりなんかしないから!」 「……キーッ!」 ラブは優しく笑顔を向ける。すると、同じようにキルンも笑ってくれた。 ラビリンスの悪巧みで不安になっている人達を、こうやって何度も励まして、フレッシュプリキュアは人々の幸せを守り続けてきたのだから。 美希は完璧に。 祈里は信じて。 せつなは精一杯頑張って。 ラブは……みんなで幸せゲットできるように、力を尽くしてきた。 それはこの世界でも変えるつもりはない。誰もが不幸にならない為にも、聖杯戦争を止める……聖杯は願いを叶えてくれると書いてあったけど、とても信じられなかった。 「それがお前の願いか……マスター」 決意を固めるラブ達を見守るのは、黒装束に身を包んだ大男。 彼こそが、キャスターのクラスとして召喚されたラブのサーヴァントだった。 「えっと……あなたがあたしのサーヴァントの……キャスターさん、でしたよね」 「ああ。まさかお前のような子どもが俺の上司とはな……フッ、どうやら俺は子どもに縁があるみたいだな」 「えっ? あの、もしかしてあなたは学校の先生か保育士でもやっていたのですか……?」 「だとしたら、どうする? 俺に子守りでもして欲しいのか」 「いえ、結構です……」 やや皮肉げに笑うキャスターの言葉に、ラブは否定する。 彼の瞳は猛獣のように鋭く、そして全身からも重苦しい雰囲気を放っていて、一緒にいるだけで緊張感が走った。 こんな男が子どもと触れ合う姿が全く想像できない。カオルちゃんとはまた違った意味で怪しげで、そして怖かった。もしもラブがもう少し小さかったら、絶対に泣き出してしまうかもしれない。 そして今、そんなキャスターはラブのことをまじまじと見つめている。 いや、正確にはこの手に持つリンクルンに視線を注いでいるようだった。 「……あの、どうかしましたか?」 「お前……光を持っているのか?」 「光?」 「お前からは光が感じられる。俺が見てきたものに比べれば、微々たる光だが……闇を振り払い、そして人を救ってきたのか」 唐突過ぎる問いかけだけど、それは決して無視できない。 ラブにとって全ての始まりとも呼べて、今でも決して忘れることができないトリニティのコンサートが行われた日。あの時、プリキュアの光と巡り会ったことでキュアピーチとして覚醒し、それから多くの心を救った。 すべてを賭けてイースとぶつかり合って……本当の友達になった。トイマジンを憎しみから解放して、おもちゃ達の幸せを取り戻した。自らの過ちを悔んだ友達の為に、プリキュアとなって戦った。 だから、キャスターの言葉は間違っていない。 「だがな、人の心は弱く、世界は闇で満ちている……だから人はそれにたやすく呑まれてしまう」 「えっ!? それは違います! だって……!」 「何故なら、俺がそうだったからだ」 ラブの反論を無視するように、キャスターは語る。 その表情からは、どこか後悔の想いが感じられた。まるで、親友の東せつながイースであった頃の過ちに苦悩していたように。 「俺はかつて、ビーストという人間に仇なす怪物達と戦っていた。奴らは世界の闇に潜み、人間達を襲い、恐怖と絶望を餌としていた…… そいつらを滅ぼす為に俺は力を求め、武器を手にし、戦った……戦い続けた。 だがな、それは間違いだった」 「間違いって……何が間違いだったんですか? そのビーストって奴らから……あなたはみんなを守る為に頑張っていたんじゃ……?」 「それは違うな。 俺の中にはビーストへの恐怖心がいつだって潜んでいた。それを振り払う為に力を求めたが、いつしかそれに溺れてしまい……闇に利用された。 そして俺はおぞましい悪魔……メフィストとなって、人間達を苦しめた。 力に溺れてしまった俺は、まるで全能の神にでもなったつもりなのか……人間達の希望を平気で踏み躙り、そして多くの絶望を生み続けたのさ」 キャスターの言葉を耳にし、そして瞳を見る度に……ラブは胸が締め付けられてしまう。 彼が何を見てきて、そして何を感じてきたのか。出会ったばかりのラブに知る術など持っている訳がない。 だけど、少なくとも彼は優しい人間であるはずだった。始めは、みんなの為に頑張りたいと思って悪い奴と戦い、みんなの幸せを守っていた。そんな尊い決意は、プリキュアのみんなだって持っている。 それが何かのきっかけで歪んでしまい、不幸が生まれてしまった。 ふと、ラブは考えてしまう。 もしも彼の隣に自分がいたら、彼のことを救うことができたのかと。キャスターと一緒にビーストと戦って、平和に暮らしている人の笑顔を見守り、間違えたことをしそうになったら……本気で止める。 そんな可能性が過ぎってしまい、心が痛くなった。 管理国家ラビリンスだけではない。妖精学校や夢の世界に向かって、妖精や子ども達を救う為に戦ったことだってある。 その度に、みんなが幸せになれたとラブは信じていたけど……それは違った。不幸はどの世界でも生まれていて、たくさんの人が悲しんでいた。 ここにいるキャスターだってどこかで苦しんでいたはずなのに、ラブはそれに気付くことができなかった。本当なら彼らが生きる世界にも赴いて、そして救わなければいけなかったのに。 いたたまれなくなって、何を言えばいいのかわからなくなってしまう。 あなたは悪くありません、なんて否定は意味がない。 これから一緒に罪を償いましょう、なんて励ましを言っても、心に届くとは限らない。 彼はせつなと同じだった。 過去の過ちを抱え込んで、それに苦しみ、自分を愛せなくなっている。きっと、帰る場所だってないかもしれない。 しかし、キャスターの為に何をしてあげればいいのか、ラブには思い浮かばなかった。せつなと違って出会ったばかりの男の人だから、どうすれば幸せにできるのかなんてわかる訳がない。 それでも、彼のことを救ってあげたかった。 「キャスターさん……あの、あたし――――!」 ――――グアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッ! ラブは言いかけたが、そこから先は続かない。何故なら、彼女の言葉を遮るかのような叫び声が、闇の中より発せられたからだ。 耳をつんざく叫びは鼓膜で暴れ周り、そして周囲を容赦なく震撼させる。それはもはや声などではなく、暴風と呼ぶのが相応しかった。 唐突すぎる咆哮にラブは跳び上がってしまい、反射的に振り向く。そうして現れた生物を前に、彼女は目を見開いた。 ――――グアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァッ! 「ナ、ナ、ナ、ナケワメーケ!?」 ラブが見上げているのは、全長40メートルは軽く超えるであろう、不気味な生物。その外見はナケワメーケやナキサケーベはおろか、ソレワターセよりも遥かに禍々しい。 骸骨のような頭部からは凄まじい迫力が放たれていて、蛇腹状の筋肉も異様なまでに盛り上がっている。身体の至る所には結晶のような物が飛び出ているが、美しい輝きなど放っていない。 まるで、怪獣と呼ばれても何らおかしくなかった。 ――――グアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァッ! 「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇっ!?」 そして現れた怪獣は、隕石のような拳をラブに向けて振り下ろしてくる。 プリキュアに変身する暇もない。混乱した思考では、その為に必要な動きを取る余裕がなかった。 「捕まれ!」 「きゃあっ!」 だけど、そんなラブの身体をキャスターは強く抱き寄せて、そして勢いよく走り出す。その脚力は人間とは思えないほどに凄まじく、プリキュアに匹敵するほどだ。 派手な爆音が鳴り響き、二人の頭上に土埃が止め処なく降り注いだ。ラブはキャスターの腕の中で、先程まで立っていた場所が拳で潰されたのを見る。 キャスターがいなければ、今頃はあの拳の下敷きになっていた。それに気付いて、ラブは命の恩人の顔を見上げるが、当の本人は怪獣を睨んでいる。まるで、憎むべき仇を見つけたように、瞳は鋭くなっていた。 「キャスターさん?」 「マスター、お前はここにいろ。奴は俺が片付ける」 「えっ? あの、待ってください!」 キャスターはラブに見向きもせず、怪獣を目掛けて走り出す。 どんどん離れていく背中を呼び止めようとした瞬間、男の身体から眩い光が放たれ出した。闇を払い、全てを照らす太陽のように眩く、そして暖かい。 その輝きに思わず目を瞑ってしまう。しかし次の瞬間には、ズシンと、凄まじい振動が足元から伝わってきた。 ゆっくりと瞼を開けると、そこには一人の巨人が降り立っていた。 「…………えっ?」 山のように大きな背中は、背骨のような飾りが備わっていて、一見すると近寄りがたい。しかし、ラブはそれが恐ろしいとは思わなかった。 黒と赤に彩られた背面からは、デジャビュを感じてしまう。つい先程、怪獣に立ち向かった男の背中とよく似ていた。 「あなたは……もしかして、キャスターさんですか!?」 ラブは大声で問いかけたが、巨人は返答もせずにただ怪獣と睨み合っている。 根拠はないけど、ラブは確信していた。ここに現れた巨人の正体は、あのキャスターであり、そしてたった一人で戦おうとしていることを。 † キャスターのクラスで召喚されたダークメフィスト/溝呂木眞也は己の運命を嗤っていた。 ビーストと戦う為の力を求めて、それに溺れてしまい、挙句の果てに影(アンノウンハンド)の操り人形となってしまった。神に迫る完全たる存在になったと驕っていたが、実際はただの道具に過ぎず、アンノウンハンドに踊らされていただけ。 その報いなのか、サーヴァントという名の道具になって、再びメフィストとして戦うことになった。しかも従う対象が、自分よりも遥かに幼い少女。 皮肉なものだ……そう、メフィストは自嘲する。 (俺の過ちを正せと……そういうことなのか?) 溝呂木に残った最期の記憶。かつてあれだけ執着していた西条凪の腕の中で、人間として罪を償って生きろと告げられた。 死んで楽になることは許されない。己がマスター・桃園ラブを守り、彼女の願いを叶える為の戦士になる……それが、贖罪なのか? ――――グアアアアアアアアアアアアアアッ! 「フンッ!」 目前より迫るのは、これまでに見たことがない新手のビースト。恐らく、敵となったマスターが使役する大型のサーヴァントだろう。 奴は耳障りな叫び声をあげながら拳を振るうも、メフィストは跳躍することで軽々と避ける。そのまま背後に回り込んで、無防備な背中を目がけて前蹴りを叩き込んだ。 何の抵抗もできずに、ビーストは地面に倒れ伏せる。多くの人間を絶望に追いやった力は、未だ健在らしい。 当然ながら、たった一発で死ぬ訳がなく、起き上がったビーストは殺意で満ちた視線を向けてくる。だが、メフィストはそれに構わず、懐に潜り込んで顎を殴り付けた。 その巨体は宙を舞った後に、遥か遠くに吹き飛ばされた。 「ハアッ!」 だが、それで終わることなどせずに、追いうちをかけるようにメフィストクローからエネルギー弾を発射する。一秒間に連続で放たれた力は、ビーストの巨体で爆発を起こした。 一度は消えたはずの鉤爪は、どうやら再びメフィストの力となるらしい。運命は、犯した大罪を忘れさせてはくれないのだろう。 ウルトラマンを幾度も苦しめてきたその武装は、彼にとって罪の証とも呼べる代物だが、決して悲観などしない。この状況で一つでも多くの武装があるのは好都合で、己の力として利用させて貰うだけだ。 (孤門、姫矢……お前達も、こうしてビーストと戦っていたのか?) 不意に、彼の脳裏にかつて戦ってきた者達の姿が浮かび上がる。 孤門一輝。一度は操り人形として変貌させようと企んだが、それに屈することなどせずに運命と戦ってきた坊やだ。恋人である斎田リコを殺し、ファウストという魔人に変えて弄った溝呂木を憎んだが……決して殺意を見せなかった。孤門自身も、一度は溝呂木によって闇の申し子にされかかったにも、関わらずだ。 姫矢准。ウルトラマンの光を得て、幾度もメフィストやファウストと戦った男だ。たった一人で人類の為に身を捧げ、その果てに終焉の地でメフィストを打ち破った。その背中には、数え切れないほどの命を背負っていたのだろう。 そして千樹憐。己の意志と力だけでメフィストに変身した溝呂木に協力した青きウルトラマン。彼のことは何も知らないが、孤門や姫矢のような赤く熱い鼓動を宿らせているだろう。 彼らは今のメフィストのように、何度もビーストと戦っていた。どれだけ傷付こうとも、無様に逃げ出そうとせずに立ち向かった。 ――――グアアアアアアアアアアアアアアッ! メフィストクローでビーストの体表を切り裂く。 耳障りな悲鳴をあげながら、敵は後退した。剛健な体躯を誇っているが、メフィストからすれば恐れるに足りない。 常人なら一瞬で失神するであろう威圧感もメフィストにとっては見慣れたもので、最早そよ風に等しかった。生前、数多のビーストを使役した今となっては、たかが一匹程度で畏怖するなどあり得ない。 もう一度。今度は体表から生えた結晶を砕くように、メフィストクローを突き刺す。そこから左腕にエネルギーを込めて、目前から暗黒の弾丸を放ち、巨体を吹き飛ばした。 ドガガガガガガガガッ! と、クロムチェスターの光線に匹敵する程の轟音が鳴り響き、震動が全身に伝わる。視界と共に地面も揺れるが、メフィストはひたすらにエネルギー弾を放ち続けていた。 一発命中する度に、凄まじい爆発がビーストの体表で起きる。奴は悲鳴を発しているだろうが、それは爆音によって掻き消されていた。 (マスター……お前には俺が何に見える? 人類を救う救世主か? あるいは、平穏を脅かす悪魔か?) ビーストが苦しむ姿に目を向けず、豆粒のように小さい己がマスターに振り向く。 彼女は困惑したようにメフィストを見上げている。この姿を恐れているのか、それとも未だに戦いを受け入れられないのか。あるいはその両方か。 この姿は人類を照らす光の申し子ではなく、影によって産み落とされた悪魔の成れの果て。例え影から解き放たれたとしても、人間にとってはおぞましい存在と見られるかもしれない。 ――――お前は人形……ただの、道具だ!―――― 脳裏に影・アンノウンハンドの嘲りが響き渡る。 奴は今もどこかで自分を見つめて、虎視眈々と狙っているのではないか。キャスターだけではなく、この手で守らなければならないマスターすらも。 石堀光彦という男の仮面を被り、ナイトレイダーの隊員を装って、今も人間達を嘲笑っているはずだ。 それこそ、闇から解き放たれた溝呂木を、サーヴァントという名の人形と見下していることすらも考えられる。 ……そんな不安が湧き上がるも、メフィストは振り払った。 余計な思案などしてはそれが戦闘中における隙となってしまい、敗北する。こんなのは初歩の初歩だ。 ただ、この手でビーストを屠り、マスターを守る。今はそれだけさえあれば十分だ。 (凪……お前は俺を笑うか? 蔑むか? お前は言ったな、俺は人間として生きて……償うべきだと。 だが、こんな形で戦うことになると知って、何を思う?) 例え贖罪を決意し、一人の少女を守ろうとしても……己が怪物であることに変わりはない。そんなメフィストを見たら、果たして西条凪は何を想うか。 マスターとなった少女を支えるか。それとも、少女を守る為にメフィストを討ち取ろうとするか。あるいは、贖罪の手助けをするか。 ビーストに攻撃を加える度に、疑問が湧き上がる。違う肉体を手に入れたとしても、彼女への未練が消えることはない……メフィストはそれを改めて認識するが、凪への想いはもう届かない。 ――――グアアアアアアァァァァァァッ……! 幾度にも渡るメフィストの攻撃によって、既にビーストの叫びは弱々しくなっている。 決着を付ける時だ。メフィストは再び膨大なるエネルギーを両腕に込めて、L字を組む。ダークメフィストが誇る必殺光線……ダークレイ・シュトロームの構えだ。 漆黒のエネルギーはビーストを目がけて突き進み、その巨体を貫く。ウルトラマンネクサスが、こうして何度もスペースビーストを打ち破ってきたように……今度はダークメフィストが、ビーストを打ち破ろうとしていた。 オーバーレイ・シュトロームに匹敵する威力に、ただ頑丈なだけのビーストが耐えられる道理などない。辺り一帯を揺るがすほどの爆発音を轟かせながら、細胞一欠けらも残さず消滅するだけ。 その大爆発によって、ほんの一時とはいえ周囲は光で照らされていった。 † 目の前で繰り広げられていた戦いは、プリキュアとして幾度も戦ってきたラブですらも立ち尽くしてしまうほどだった。 キャスターという謎に満ちた男はただの人間ではない。プリキュアのように……いや、プリキュアよりも遥かに大きくて強そうな巨人に変身して、怪獣と戦っていた。まるでTVの特撮ヒーローのようで、思わず息を呑んでしまう。 そんなキャスターは今、元の姿に戻ってラブの前に立っていた。 「キャスターさん、あなたは一体……?」 「見ろ。これが俺の力だ」 己の力を誇る訳でも、勝利を喜ぶ訳でもなく……淡々と結果を告げる。その瞳は相変わらず寂しげに見えた。 「マスター……お前は言ったな。誰のことも傷付けたりしないことが、お前の願いだと」 「は、はい! みんなには笑顔でいて欲しいですし……こんな戦いに乗ってまで願いを叶えるなんて、あたしは嫌です!」 「そうか」 ラブの想いをキャスターは肯定する。 自分自身の幸せを、そしてみんなの幸せを潰すことなんてラブにはできない。 聖杯を手に入れて幸せを手にしたとしても、それは自分で掴み取った幸せではない。どんなに苦しく、間違えることがあっても……自分で努力して掴まなければ、心から幸せになれなかった。 聖杯は、ラビリンスが生み出した人工コンピューター・メビウスと同じだった。 メビウスに管理された世界には悩みや苦しみはないけど、幸せと思いやりだってなくなってしまう。失敗し、何度でもやり直すからこそ……人は幸せになれる。 そのチャンスを奪って、人を不幸にしてまで願いを叶えても、その先にあるのはもっと大きな不幸だけだった。 「ならば、忠告をしておく」 「忠告?」 「『怪物と戦う者は気を付けろ。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』……そんな言葉があるみたいだぜ」 「し、しんえん……? えっと、新年の挨拶ですか?」 「………………」 間の抜けたラブの答えにキャスターは溜息を吐く。 「…………要するに、俺達はいつでも狙われている。お前がどんな願いを抱こうとも、聖杯を求めて戦う者からすれば……そんなのはただの綺麗事。 お前は隙だらけだ。例えどれだけ大きな光を持っていようとも、甘さが命取りになるぜ」 「……やっぱり、聖杯が欲しくて戦う人って、いるのですか? 自分の為に、誰かを不幸にする人も……」 「いなかったら、最初からこんな戦いなんて起こる訳がないだろう?」 冷徹とも取れるキャスターの言葉だが、ラブはそれを否定することができない。 何故なら、ラビリンスが人々を不幸にしてきた光景を、ラブは何度も見てきたのだから。せつな達がまだラビリンスの幹部だった頃、ナケワメーケ達を使ってFUKOのゲージを貯めていて、それを少しでも食い止める為にフレッシュプリキュアは戦っていた。 サウラーがナケワメーケでみんなのお母さんを消して、ノーザがソレワターセを使ってあゆみを鏡の中に閉じ込めたように…………聖杯を手に入れる為に、手段を選ばない人は必ずいる。 キャスターはそれを伝えたかったのだろう。 巨大なサーヴァントが倒されて、それを操るマスターがどうなったのかを知らない。 無事でいるとは思えない。しかし、ラブには戦ってくれたキャスターを責めることはできなかった。彼が戦ってくれなければこの命を奪われていただろうし、何よりも街に生きる人達が犠牲になってしまう。 ……けれど、この結果を『仕方がない』という一言で片付けたくなかった。 「闇はいつでも俺達を狙っている。少しでも隙を見せたら、かつての俺みたいになるぜ?」 「それって、キャスターさんのことを言っているのですか? でも、今のキャスターさんはあたしを助けてくれたじゃないですか! あなたは悪い人じゃ……!」 「それが甘いと言っているんだ! 俺は確かに闇から解放されたが、奴らは俺をまた操り人形にするはずだ。いや、俺だけじゃない……マスターまでもが、道具にされるだろうな。 そうなったら、マスターの左手に刻まれた令呪で、俺は殺されるだろう」 「えっ!?」 キャスターの衝撃的な発言に、ラブは動揺する。 そして彼が示した、左手の甲に描かれている紋章……令呪に目を向けた。 「確か、そいつさえあれば俺達サーヴァントにどんな命令でも与えられるらしいな? なら簡単だ……もし俺が用済みになっては、マスターの意志を奪った影は、そいつで俺に命令させるだろう。自害しろ、ってな……」 「そんなこと、できるわけありません! キャスターさんの自由を奪って、あなたの幸せを奪うようなことをするなんて! もしも影が襲ってくるのなら……あたしも影と戦います! みんなを不幸にする奴らなんて、絶対に許せませんから! 例え、また影があなたを狙ったとしても、あたしは止めてみせます……令呪じゃなくて、あたし自身の力で!」 令呪に願いを込めれば、どんなことでもサーヴァントは叶えてくれるらしい。だけど、それで止められたとしても、何の意味があるのか。 かつてイースであったせつなをラビリンスから抜け出させる為に、ラブは自分の全てを賭けて戦った。彼女の悲しみと涙を止める為に、全力で想いをぶつけたからこそ、お互いにわかり合うことができた。 だから、もしもまたキャスターが悪いことをしそうになったら、ラブの力だけで止めなければならない。魔法のランプのような力に頼らず、自分自身の想いを込めて。 「お前は何も知らないから、そう言える。例えマスターがどんな戦いを乗り越えていようとも、奴らは狡猾で、そしてあらゆる手段で人間を絶望させてきた。 俺を止める? ハッ……変わったことを言うマスターだ」 「そうかもしれません……でも、諦めたくないんです! 自分の幸せも、キャスターさんの幸せも……両方ゲットしたいから!」 「俺の幸せ?」 「キャスターさんがどんな人で、何が好きで、何が嫌いで、どうすれば笑ってくれるのか……あたしはわからないです。でも、あたしはあなたのことを知りたいと思っています!」 「俺が、お前のサーヴァントだからか?」 「違います! マスターとか、サーヴァントとか、そんなよくわからないことなんかじゃなくて……あなたにも幸せになって貰いたいから!」 それがラブの想いだった。 せつなの幸せをせつなと共に探したように。今度はキャスターと共に、キャスターの幸せを見つけたいと願っていた。 聖杯に頼らず、自分自身の力で。 「…………そんなもの、考えたこともないな。誰かを絶望させ続けた俺が、今更幸せになど……」 「なれますよ! あたしも、一緒に探しますから! じゃあ、あたしからマスターとしての最初の命令を言います!」 「命令?」 「あたしと一緒にやり直しながら、キャスターさんの幸せを見つける! はい、これがあたしからの命令です!」 令呪の力を借りず、何の強制力もないラブの"命令"。キャスターの贖罪を手伝いながら、キャスター自身が本当の幸せをゲットできるように頑張ることだった。 当のキャスターは一瞬だけ呆気にとられるも……すぐに苦笑を浮かべた。 「全く、どこまでも変わったマスターだ」 「あっ! それ、どういう意味ですか?」 「言葉の通りだ。お前は甘い……甘すぎる。だが、他ならぬマスターからのご命令だ……覚えておこう」 「本当ですか!?」 「ああ。しかし、忘れるな……俺達は狙われていることを。ここは戦場で、ビーストの他にも敵が大勢いるってことをな」 キャスターの言葉は相変わらず胸に刺さるが、それでもラブは決して挫けたりなどしない。 こうすることで、彼との距離が少しだけでも縮まり、お互いがわかり合えるきっかけになったはず。だから、キャスターの言葉をしっかりと胸に叩きこんだ。 「わかりました。キャスターさん……一緒に、頑張りましょう! みんなの為にも、そして……あなたの為にも!」 みんなの幸せの中には、キャスターだっていなければならない。 それこそが、この世界でやるべきことだと桃園ラブは確信していた。 【クラス】 キャスター 【真名】 溝呂木眞也@ウルトラマンネクサス 【ステータス】 筋力B 耐久A 敏捷A 魔力A+ 幸運C 宝具B 【属性】 混沌・善 【クラス別スキル】 陣地作成:A+ 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げるスキル。 かつてはダークメフィストとして幾度もダークフィールドを生み出していたが、今の彼は影から解放されているのでダークフィールドを生み出せない。 彼が形成する空間は、メタフィールドと同等の性質を持つ。 道具作成:- かつてはその手で殺した人間を操り人形にしてきたが、今の彼にその力は存在しない。 同様にビーストの使役も不可能。 【保有スキル】 贖罪:A 人間として生きて、己が罪を償うと誓った彼が手に入れた光。 これを掲げた時、彼は光を持つ悪魔へと変身することができる。 【宝具】 『影より解き放たれ、過ちを正そうと誓う悪魔(メフィスト)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 影の力ではなく、光によって再び姿を現した悪魔。 ダークエボルバーを必要とせず、自らの心に取り戻したことで変身したその姿はまさにウルトラマンと呼ぶに相応しい。 己の罪を償うという決意に答えたのか、その手に持つメフィストクローも人間を守る為の力となっている。 闇の色を持ちながらも、そこには溝呂木眞也という男が最期に抱いた真っ直ぐな決意が込められるようになった。 『異空間(メタフィールド)』 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:- 最大捕捉:- ウルトラマンが本来の力を発揮する為に作り出す空間で、ここにスペースビーストを引き摺りこむことで有利に戦える。 現実世界から確認することは不可能で、突入も極めて困難。突入にはハイパーストライクチェスターあるいはそれに匹敵する規模の武装が必要とされる。 かつてはダークフィールドと呼ばれ、闇の巨人とスペースビーストを有利にさせてウルトラマンの力を奪う為の空間だったが、今の彼にその意思はない。 光を強化させる空間となったが、展開する為には多大な力を消耗し、一定時間を過ぎると自動的に消滅してしまう。故に三分間の使用が望ましい。 善の属性を持つサーヴァントのステータスを一ランク上昇させて、悪の属性を持つサーヴァントのステータスを一ランク減少させる。 【Weapon】 ダークメフィストとしての力 メフィストクロー 【人物背景】 かつてはナイトレイダーの副隊長として人類に仇なすスペースビーストと戦っていたが、次第に力に渇望して、そこを影―アンノウンハンド―に付けいられてしまった。 アンノウンハンドによって操り人形とされ、ダークメフィストとなった彼は斎田リコを始めとした多くの人間を殺め、そして姫矢准が持つウルトラマンネクサスの光を求めた。 その果てに彼は、終焉の地に誘き寄せたウルトラマンネクサスを処刑しようとするも、ナイトレイダーの力によって復活したウルトラマンに敗れ去る。 それ以後、溝呂木眞也は記憶を失ってしまい、TLTに拘束される。そこで全ての記憶を取り戻し、自らの罪に苦悩するも、それに対する贖罪を決意する。 だが、新たにアンノウンハンドの操り人形となった三沢広之/ダークメフィスト・ツヴァイの不意打ちによって傷を負ってしまうが、己の力で光を集めて再びダークメフィストに変身し、千樹憐が変身するウルトラマンネクサスと共に戦う。 メフィストはメフィストツヴァイを抑え込み、自らもろともウルトラマンネクサスに打ち破るように懇願した。 最期、人間としての心を取り戻した彼は、特別な想いを寄せていた西条凪の腕の中で静かに息を引き取った。 声優の沖佳苗氏は特撮雑誌・宇宙船のコラムにて、溝呂木眞也というキャラクターについての思い入れを語ったことがある。 【サーヴァントとしての願い】 己の罪を償い、マスターを守る。 【マスター】 桃園ラブ@フレッシュプリキュア! 【マスターとしての願い】 聖杯に頼らず、キャスターさんの幸せを見つけてみせる。できることなら犠牲を出したくない。 【weapon】 リンクルン 【能力・技能】 伝説の戦士・プリキュア……キュアピーチに変身して、大きな戦闘能力を発揮することができる。 桃園ラブ本人は料理が得意で、ダンスのレッスンを受けているので人並み以上の体力を持っている。 ただしリンクルンの通話機能に関しては、聖杯戦争の世界に限定。 【人物背景】 何事にも前向きで一生懸命。自分よりも他の誰かの為に行動し、いつだってみんなの幸せを守ってきた。 憧れのダンスチーム・トリニティのダンスコンサート会場にラビリンスの怪物・ナケワメーケが現れた時、トリニティのリーダー・知念ミユキを守りたいと願ったのをきっかけに、キュアピーチとして戦うようになった。 それ以降、スウィーツ王国の妖精にして王子のタルトや、赤ちゃん妖精のシフォンと出会う。そして幼馴染の蒼乃美希と山吹祈里も、それぞれキュアベリーやキュアパインとして覚醒し、彼女らと共にラビリンスから幸せを守ると決意する。 ある時、友達と信じていた東せつながラビリンスの幹部・イースであることを知った時は動揺し、戦えなくなったものの、美希の叱咤を受けて立ち上がり、彼女と気持ちをぶつけ合った。その果てにせつなはラビリンスによって強制的に寿命を終了させられるも、駆け付けたアカルンによりキュアパッションとして生まれ変わる。 そうして自分自身の罪と戦うと決意したせつなを受け入れて、フレッシュプリキュアは結成された。 彼女達は絆を深め合いながら人々の幸せを守る為に戦い、そしてラビリンスから全てのパラレルワールドを守り抜いた。 【方針】 聖杯に頼らず、キャスターさんの幸せを見つけてみせる。 【把握媒体】 ウルトラマンネクサス 全37話の特撮作品(外伝1話、前日談となる映画が一作) 昨年、コミカライズ版も発売された。 短編小説はあるが、こちらは現在では入手困難。 フレッシュプリキュア! 全50話のアニメ作品(劇場版1作、他シリーズと共演する映画シリーズが複数) コミカライズ版や後日談となる小説版も発売されている。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/706.html
目が覚めた。 時計を見る。 真夜中。 ラブの唇が、近づく 夢を見ていた。 胸が高鳴ったまま、 引く気配が無い。 ラブは、もう 眠ってしまったかしら。 ラブの体温を、 感じたい。 ラブの側に、 行きたい。 ラブの、ところへ... 突然、景色が 変わった。 アカルンが勘違いしたのか、 気を利かせてくれたのか。 ラブの部屋は、 真っ暗。 布団を、頭から 被っている。 眠っているようだ。 違う。 もぞもぞと、動いている。 私が来たことにも、 気づいていない。 気配を殺し、 耳をすませる。 布が擦れる音。 吐息。 「んっ...んっ...」 時々混じる、声。 何をしているのか、 解ってきた。 ひとりで、慰めている。 聞いてはいけないものを、 聞いた気がする。 戻らなきゃ。 「...つな...」 体が硬直した。 「んっ...せつな...」 私の体が、 びくんと跳ねた。 私を想いながら、 してるの? 吐息が、 だんだん荒くなる。 「はぁ...あっ...せつな...せつな...」 下腹部が、熱くなる。 うるおう、感覚。 息が、詰まりそうになる。 口の中が、乾く。 「せつな...ああっ...せつな...!」 布団が大きく上下し、 その波が、だんだん緩くなる。 「はっ...!」 詰まっていた息が、 出てしまった。 「ひゃっ!」 布団がはねのけられ、 ラブと目があった。 布団の中から出てきた 猛烈な熱気が、部屋を満たす。 「せつな...何で?」 胸をはだけた、パジャマの上。 足首まで降りた、パジャマの下。 「ごめんなさい...私... 来るつもり無かったけど...」 「見てたの...?」 「...聞いてた」 「せつな...手...」 言われて、気がついた。 私の右手が、パジャマの下に 入り込んでいた。 いつの間にか、私も 自分で触れていた。 手を、引き抜く。 街灯の光が、 少しだけ入る部屋。 濡れた指先が、 光を反射している。 ラブが、微笑む。 「せつなも...同じなんだね」 ラブが体を起こし、 私に向かって、足を開く。 「ほら...あたしの...」 ラブが、 自分で拡げる。 滴る蜜が、光を反射する。 「あたし...まだ足りないよ...」 ラブの指先が蜜をすくい、 上にある突起に塗り拡げる。 ラブの吐息が、 また激しくなる。 「ねぇ...せつなのも...見せて」 部屋の熱気と、 ラブの吐息。 正気でいられるわけが、 なかった。 ラブのベッドに、 のぼる。 パジャマと下着を脱ぎ、 ラブに向かって、足を開く。 自分で、拡げる。 「はぁっ...せつなも...すごいよ」 体が、ゾクゾクと震える。 私のそこも、 歓喜するように震える。 左手の指で、 そこを舐る。 右手で、パジャマの ボタンを外す。 尖りきった先端が、 愛撫を求めるように飛び出す。 指で、円を描くように触れる。 「んぅっ...!」 思わず、声が漏れる。 「あはっ...そうするのが好きなんだ...」 「いや...言わないで...」 しているラブを、見る。 している私を、ラブに見られる。 ふたつの吐息が、重なってきた。 「ラブ...ラブ...私...!」 「せつな...あたし、またっ...!」 ふたりの腰が、不規則にうごめき、 大きく跳ねる。 声にならない声が、重なる。 頭の中が、真っ白。 恥ずかしいはずなのに、 それ以上に、体が求めている。 止まらなかった。 ラブを押し倒し、 反対向きにのしかかる。 「はぁっ...せつな...積極的っ...」 また体が震え、 滴るのが、解る。 腰を落とし、押しつける。 ラブも唇を押しつけ、 激しく吸い付いてくる。 私も、ラブの泉に 顔を埋める。 舌でかき回し、 吸い合う。 夢中で、貪り合う。 お互いの腰をしっかりと抱き留め、 何度も、何度も達した。 空が白みかかっていた。 向き合って、寝転がる。 汗にまみれ、乱れた髪を 梳き合う。 「ふたりの方が、ずっといい...」 「そうね...」 次の夜までは、姉妹のような、 双子のような、友達。 私たちは、友達に戻る前に、 息が苦しくなるくらい、唇を押しつけ合った。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/104.html
あの海から始まる物語(外伝):episode.0 クリスマスパーティーの夜。4人でラブの家にお泊まりして、楽しい夜を過ごす―――はずだった。 「なんだか…さっきからお腹が痛くて…」 パーティーも佳境に入った頃、急にブッキーが腹痛を訴え出した。 「ブッキー大丈夫?」 「すごく痛そう…」 「お母さんに何か薬もらってこようか?」 ブッキーを心配して、皆が口々に声をかける。 「平気…冬になったらよくあるの。おうちにある置き薬を飲んで、暖かくして寝てれば明日には治るから。タイミング悪くてごめんなさい…」 時折波のように襲い掛かる痛みを堪えながら、ブッキーが謝る。 そんな彼女を見るに見かねたのか、アカルンでブッキーを送って来ていい?とせつなが言い出した。 「それもそうね。外は寒くて暗いし、第一、お腹が痛いんじゃ、歩けないし」 アタシが賛成し、ラブも、うんうんそうしなよ、と続ける。 ブッキーは、せつなちゃんに悪いよ、と何度も断ったのだが、せつなは断固として聴き入れない。 ようやくブッキーが折れる形になり、家まで送ってもらうことになった。 「みんなごめんなさい、またね、ありがとう…」 ブッキーは弱々しく微笑い、せつなに抱えられるようにして、赤い光に包まれ帰っていった。 しばらくはタルトやシフォンを交えて、おしゃべりに花を咲かせながらせつなを待っていた。 けれど、眠くなったシフォンとタルトがせつなの部屋で就寝した後も、せつなは戻って来なかった。 「ちょっと遅すぎない?」 「そうだよね、せつなに電話してみる」 ラブがリンクルンを取り出した時、短いメロディーが鳴り、メールが来たことを告げた。 「せつなからだ。『ブッキーの御両親が明日まで不在で、一人にしておけないから泊まります』…だって。せつならしいや」 メールを見て安心したのだろう、ラブはアタシを見て笑顔になった。 ドキン ラブの笑顔を見て、急に胸が音を立てた。 アタシ…この笑顔に弱いのよね。 そういえば、ふたりっきりになっちゃったんだ。普段はせつなやブッキーがいるから、意識せずラブに自然に接することが出来るけれど、ふたりっきりって実はあんまり経験ないのよね…。 そう意識し始めると、さっきまでは普通に打っていたはずの心臓が、どんどん速度を速めてく。 「どうしたの美希たん、顔赤いよ?」 「だ、暖房効かせすぎかな~ハハ」 駄目だ。声が上擦ってしまう。美希のバカ!これじゃ、アタシがラブを意識していることがバレバレじゃないの! 「そうだ、お風呂入ろうよ」 突然のラブの爆弾発言。 「お風呂!?」 ……ゴクリ。やだ、生唾って本当に出るんだ。 「ら、ラブが先に入りなさいよ」 心にもないことを言うアタシに、ラブが唇を尖らせる。 「え~~!?折角お泊まりなんだし、一緒に入ろうよ~」 「し、仕方ないわね…」 うっしゃあっ!テーブルの下で小さくガッツポーズをしたのは言うまでもなく。 ラブの家の脱衣所、懐かしい。泥んこ遊びした後、よくあゆみさんに入れてもらったっけ…。 感慨にふけっているアタシをよそ目に、ラブはさっさと衣服を脱いでゆく。 「美希たん遅いぞ!先入っとくよ~」 ガラガラガラ。 引き戸を引き、ラブが浴室内へ。しまったー。感慨にふけってたばっかりに、ラブの裸体見逃した。じっくり拝む又とないチャンスだったのに…。 だけど、キュッと引き締まった桃尻だけは、確かにこの目に焼き付けたわ! 「♪♪♪~♪~美希ぃ、まだぁ~?」 鼻歌を歌いながら、ラブがアタシを呼び捨てる。 無意識なんだろうけど、あれにもアタシ、弱いのよね…。 「待ってて、今脱いでるから…」 きゃあ!何このセリフ!まるで恋人同士が一緒にお風呂する時みたいじゃないの! 「お…お邪魔します…」 身体の前に隠すようにタオルを垂らして浴室に入ってゆくと、ラブは湯舟に浸かり、前のめりになって浴槽にもたれていた。 !!! ち…ち…乳房が…浴槽に乗っかってる…?。 「どしたの?」 「ラブ…アンタ…胸、おっきくなってない?」 「あー、これ~?気づいた?最近なんか重いと思ったらさ~こんなになっちゃってた」 ラブが両手で胸を持ち上げ、ユサユサと揺らして見せた。ラブの胸の動きに合わせて、ぱしゃぱしゃと湯が波立った。 「にゃは~」 照れ臭そうに笑うラブ。か…可愛い。 ラブを見つめるアタシの鼻の下は自然と伸びて、なんだかタラーっと温かい液体の感触が…。 「美希たん!は…鼻血が」 ウッソー!やだアタシったら…。これじゃ、ただの変態じゃないの! 「大丈夫?」 「平気平気!ちょっと湯あたりしちゃっただけよ…」 「ヘンな美希たん!まだお湯には浸かってないじゃん」 「そ、そうとも言うわね」 アタシは知らんぷりして脱衣所に戻り、大急ぎでティッシュを鼻に詰めると、改めて浴室に入り、かけ湯をして湯舟に入る。 ザザ…ザザン お湯がこぼれ落ち、浴槽の中でアタシとラブは向かい合う。 「美希たんはあんまり成長してないね」 「うっさいわね!ほっといてよ」 どーせアタシはブッキーやラブに比べたらペッタンコですよ…。せつなもラブ以上にはありそう。クローバー貧乳コンテストがあったなら、間違いなくアタシが優勝するわね。 …だけど、ホントにおっきいわ、ラブのおっぱい。 見ないようにしていても、つい視線がそちらに向いてしまう。 ふっくらとハリのある丸みを帯びた部分。将来は赤ちゃんのためのお乳を出す器官。 授乳する母と子はとても神聖に見えるのに、ラブのおっぱいを見てると、どうしてこんなにいやらしい気持ちになるのかな…。 要するに、アタシがいやらしい目で見てるからなんだけど。 ちら。ちら。お湯に透けるラブのピンク色の乳首―――ちょっとだけさわってみたい。 そんなアタシの心をラブは読めるのだろうか。それともアタシの感情が顔に出てるんだろうか。ニマニマ笑ってラブが言った。 「さわりたい?」 「うんさわりたい…って、ええええっ!?」 「いいよ、美希たんなら」 アタシならいいって、どういう意味?ドキドキする…。アタシ、勘違いしちゃうよ。 「いいって言うけど、そんな簡単にさわらせていいの?」 「だってさわりたいんでしょ?……それに、あたしも…美希にさわって欲しいし」 上目使いで、恥ずかしそうにラブがこっちを見る。 アタシは小悪魔ラブの誘惑に…負けた。 「ラブのお願いなら、聞いてあげなきゃね。―――ここらへん?」 一番尖ってる先っちょをツンツン、と指でつつく。 「はあっ…」 悩ましげな声を出すラブ。もっと聞きたくて、アタシは親指と人差し指で摘んでみる。 ふにふに… 柔らかかった先っちょがだんだん硬くなってくる。喘ぎながら唇が半開きになり、陶酔したような顔のラブ。 やだ、何だろう。この気持ち。 もっともっと、ラブを喜ばせたい。もっともっと、ラブに触れたい。 アタシはラブの後ろに周り込み、後ろからラブを抱え込むように座り直した。 「もっとさわっても…いいでしょ?」 言いながら、すでにアタシの両手はラブの胸をさわさわと揉みはじめていた。 「あっ…んんっ…ふぁ…み、きぃ…」 ちょうどいい大きさに成長した乳房を掌で優しく揉みほぐしながら、指で突起を摘みこね回す。 アタシが刺激する度にラブが甘い声で応えるから、刺激はどんどんエスカレートする。 左手はそのままに、右手をそろそろと下ろす。ラブの薄い茂みの中は、お湯の中でもわかるくらい、熱いぬめりで満ちていた。 「ラブ…胸だけでこんなに濡らしちゃって…どうして?」 「だ…って…あっ…美希に…ふぅっ…ずっと前から、こう…されたかっ…たんだも…んっ」 息も絶え絶えに言いながら、ラブが振り向き口づけてきた。 ラブもアタシを想ってくれてた…!アタシは嬉しくてたまらなくなり、めちゃくちゃにキスをする。舌を入れて舐めまわし、ラブの舌を強く吸った。 口づけの間にも、指で茂みを探索する。敏感なトコを探り当て、くりくりと左右に揺すってみる。 「あああんっ」 びっくりするくらいの大声を出すラブに、アタシは思わず左手で口を塞ぐ。 「シッ、あゆみさん達に聞かれちゃうわよ。声出しちゃダメ」 ラブはうんうんと頷く。瞳には涙をたくさん溜めている。アタシの腕の中で乱れているラブが、とても愛しい。 静かになったラブの秘裂を、再び弄る。 指の腹を使い、淫核を優しく押し潰すと、ラブが声を出さずに吐息だけをもらした。 少しずつ吐息が早くなっていく。ラブが感じてるのを見ながらアタシも感じていく。硬くなった乳首が、ラブの背中に当たり、自然と擦りつける格好になっている。 きっとアタシの大事な部分も、ラブのように熱くなって今にも蕩けそうになっているだろう。 「――――っ!」 パシャッと湯が跳ねる。突然ラブが脚をピン!と伸ばしたのだ。そのまま脚が細かく震える。イッてしまったのだ。 ラブが果てた後も、彼女の脚の間からは愛液がとどまることなく溢れ出していく。 「はあっ…はあっ…」 ぐったりとアタシにしな垂れかかるラブの首すじや耳たぶに口づけながら、アタシは言った。 「すっごく可愛いかったわよラブ…」 「あたし…嬉しかった。美希とこうなれるなんて、夢みたい。けど…あたしだけ気持ち良くなってごめん。今度はあたしが美希に…してあげたいな」 振り向きながら恥ずかしそうに微笑むラブ。 「ありがとう…じゃ、続きはラブの部屋でじっくりと…ね?」 狭い湯舟の中での口づけ。最高。ああ…頭がぼーっとする。本当に湯あたりしそうだわ…。 「美希たん!反対側からも鼻血が!」 了 スピンオフ【良薬口に甘し】へ続く
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/484.html
【桃色天使は小悪魔だった~バスルームの誘惑~】/恵千果◆EeRc0idolE R18 クリスマスパーティーの夜。4人でラブの家にお泊まりして、楽しい夜を過ごす―――はずだった。 「なんだか…さっきからお腹が痛くて…」 パーティーも佳境に入った頃、急にブッキーが腹痛を訴え出した。 「ブッキー大丈夫?」 「すごく痛そう…」 「お母さんに何か薬もらってこようか?」 ブッキーを心配して、皆が口々に声をかける。 「平気…冬になったらよくあるの。おうちにある置き薬を飲んで、暖かくして寝てれば明日には治るから。タイミング悪くてごめんなさい…」 時折波のように襲い掛かる痛みを堪えながら、ブッキーが謝る。 そんな彼女を見るに見かねたのか、アカルンでブッキーを送って来ていい?とせつなが言い出した。 「それもそうね。外は寒くて暗いし、第一、お腹が痛いんじゃ、歩けないし」 アタシが賛成し、ラブも、うんうんそうしなよ、と続ける。 ブッキーは、せつなちゃんに悪いよ、と何度も断ったのだが、せつなは断固として聴き入れない。 ようやくブッキーが折れる形になり、家まで送ってもらうことになった。 「みんなごめんなさい、またね、ありがとう…」 ブッキーは弱々しく微笑い、せつなに抱えられるようにして、赤い光に包まれ帰っていった。 しばらくはタルトやシフォンを交えて、おしゃべりに花を咲かせながらせつなを待っていた。 けれど、眠くなったシフォンとタルトがせつなの部屋で就寝した後も、せつなは戻って来なかった。 「ちょっと遅すぎない?」 「そうだよね、せつなに電話してみる」 ラブがリンクルンを取り出した時、短いメロディーが鳴り、メールが来たことを告げた。 「せつなからだ。『ブッキーの御両親が明日まで不在で、一人にしておけないから泊まります』…だって。せつならしいや」 メールを見て安心したのだろう、ラブはアタシを見て笑顔になった。 ドキン ラブの笑顔を見て、急に胸が音を立てた。 アタシ…この笑顔に弱いのよね。 そういえば、ふたりっきりになっちゃったんだ。普段はせつなやブッキーがいるから、意識せずラブに自然に接することが出来るけれど、ふたりっきりって実はあんまり経験ないのよね…。 そう意識し始めると、さっきまでは普通に打っていたはずの心臓が、どんどん速度を速めてく。 「どうしたの美希たん、顔赤いよ?」 「だ、暖房効かせすぎかな~ハハ」 駄目だ。声が上擦ってしまう。美希のバカ!これじゃ、アタシがラブを意識していることがバレバレじゃないの! 「そうだ、お風呂入ろうよ」 突然のラブの爆弾発言。 「お風呂!?」 ……ゴクリ。やだ、生唾って本当に出るんだ。 「ら、ラブが先に入りなさいよ」 心にもないことを言うアタシに、ラブが唇を尖らせる。 「え~~!?折角お泊まりなんだし、一緒に入ろうよ~」 「し、仕方ないわね…」 うっしゃあっ!テーブルの下で小さくガッツポーズをしたのは言うまでもなく。 ラブの家の脱衣所、懐かしい。泥んこ遊びした後、よくあゆみさんに入れてもらったっけ…。 感慨にふけっているアタシをよそ目に、ラブはさっさと衣服を脱いでゆく。 「美希たん遅いぞ!先入っとくよ~」 ガラガラガラ。 引き戸を引き、ラブが浴室内へ。しまったー。感慨にふけってたばっかりに、ラブの裸体見逃した。じっくり拝む又とないチャンスだったのに…。 だけど、キュッと引き締まった桃尻だけは、確かにこの目に焼き付けたわ! 「♪♪♪~♪~美希ぃ、まだぁ~?」 鼻歌を歌いながら、ラブがアタシを呼び捨てる。 無意識なんだろうけど、あれにもアタシ、弱いのよね…。 「待ってて、今脱いでるから…」 きゃあ!何このセリフ!まるで恋人同士が一緒にお風呂する時みたいじゃないの! 「お…お邪魔します…」 身体の前に隠すようにタオルを垂らして浴室に入ってゆくと、ラブは湯舟に浸かり、前のめりになって浴槽にもたれていた。 !!! ち…ち…乳房が…浴槽に乗っかってる…?。 「どしたの?」 「ラブ…アンタ…胸、おっきくなってない?」 「あー、これ~?気づいた?最近なんか重いと思ったらさ~こんなになっちゃってた」 ラブが両手で胸を持ち上げ、ユサユサと揺らして見せた。ラブの胸の動きに合わせて、ぱしゃぱしゃと湯が波立った。 「にゃは~」 照れ臭そうに笑うラブ。か…可愛い。 ラブを見つめるアタシの鼻の下は自然と伸びて、なんだかタラーっと温かい液体の感触が…。 「美希たん!は…鼻血が」 ウッソー!やだアタシったら…。これじゃ、ただの変態じゃないの! 「大丈夫?」 「平気平気!ちょっと湯あたりしちゃっただけよ…」 「ヘンな美希たん!まだお湯には浸かってないじゃん」 「そ、そうとも言うわね」 アタシは知らんぷりして脱衣所に戻り、大急ぎでティッシュを鼻に詰めると、改めて浴室に入り、かけ湯をして湯舟に入る。 ザザ…ザザン お湯がこぼれ落ち、浴槽の中でアタシとラブは向かい合う。 「美希たんはあんまり成長してないね」 「うっさいわね!ほっといてよ」 どーせアタシはブッキーやラブに比べたらペッタンコですよ…。せつなもラブ以上にはありそう。クローバー貧乳コンテストがあったなら、間違いなくアタシが優勝するわね。 …だけど、ホントにおっきいわ、ラブのおっぱい。 見ないようにしていても、つい視線がそちらに向いてしまう。 ふっくらとハリのある丸みを帯びた部分。将来は赤ちゃんのためのお乳を出す器官。 授乳する母と子はとても神聖に見えるのに、ラブのおっぱいを見てると、どうしてこんなにいやらしい気持ちになるのかな…。 要するに、アタシがいやらしい目で見てるからなんだけど。 ちら。ちら。お湯に透けるラブのピンク色の乳首―――ちょっとだけさわってみたい。 そんなアタシの心をラブは読めるのだろうか。それともアタシの感情が顔に出てるんだろうか。ニマニマ笑ってラブが言った。 「さわりたい?」 「うんさわりたい…って、ええええっ!?」 「いいよ、美希たんなら」 アタシならいいって、どういう意味?ドキドキする…。アタシ、勘違いしちゃうよ。 「いいって言うけど、そんな簡単にさわらせていいの?」 「だってさわりたいんでしょ?……それに、あたしも…美希にさわって欲しいし」 上目使いで、恥ずかしそうにラブがこっちを見る。 アタシは小悪魔ラブの誘惑に…負けた。 「ラブのお願いなら、聞いてあげなきゃね。―――ここらへん?」 一番尖ってる先っちょをツンツン、と指でつつく。 「はあっ…」 悩ましげな声を出すラブ。もっと聞きたくて、アタシは親指と人差し指で摘んでみる。 ふにふに… 柔らかかった先っちょがだんだん硬くなってくる。喘ぎながら唇が半開きになり、陶酔したような顔のラブ。 やだ、何だろう。この気持ち。 もっともっと、ラブを喜ばせたい。もっともっと、ラブに触れたい。 アタシはラブの後ろに周り込み、後ろからラブを抱え込むように座り直した。 「もっとさわっても…いいでしょ?」 言いながら、すでにアタシの両手はラブの胸をさわさわと揉みはじめていた。 「あっ…んんっ…ふぁ…み、きぃ…」 ちょうどいい大きさに成長した乳房を掌で優しく揉みほぐしながら、指で突起を摘みこね回す。 アタシが刺激する度にラブが甘い声で応えるから、刺激はどんどんエスカレートする。 左手はそのままに、右手をそろそろと下ろす。ラブの薄い茂みの中は、お湯の中でもわかるくらい、熱いぬめりで満ちていた。 「ラブ…胸だけでこんなに濡らしちゃって…どうして?」 「だ…って…あっ…美希に…ふぅっ…ずっと前から、こう…されたかっ…たんだも…んっ」 息も絶え絶えに言いながら、ラブが振り向き口づけてきた。 ラブもアタシを想ってくれてた…!アタシは嬉しくてたまらなくなり、めちゃくちゃにキスをする。舌を入れて舐めまわし、ラブの舌を強く吸った。 口づけの間にも、指で茂みを探索する。敏感なトコを探り当て、くりくりと左右に揺すってみる。 「あああんっ」 びっくりするくらいの大声を出すラブに、アタシは思わず左手で口を塞ぐ。 「シッ、あゆみさん達に聞かれちゃうわよ。声出しちゃダメ」 ラブはうんうんと頷く。瞳には涙をたくさん溜めている。アタシの腕の中で乱れているラブが、とても愛しい。 静かになったラブの秘裂を、再び弄る。 指の腹を使い、淫核を優しく押し潰すと、ラブが声を出さずに吐息だけをもらした。 少しずつ吐息が早くなっていく。ラブが感じてるのを見ながらアタシも感じていく。硬くなった乳首が、ラブの背中に当たり、自然と擦りつける格好になっている。 きっとアタシの大事な部分も、ラブのように熱くなって今にも蕩けそうになっているだろう。 「――――っ!」 パシャッと湯が跳ねる。突然ラブが脚をピン!と伸ばしたのだ。そのまま脚が細かく震える。イッてしまったのだ。 ラブが果てた後も、彼女の脚の間からは愛液がとどまることなく溢れ出していく。 「はあっ…はあっ…」 ぐったりとアタシにしな垂れかかるラブの首すじや耳たぶに口づけながら、アタシは言った。 「すっごく可愛いかったわよラブ…」 「あたし…嬉しかった。美希とこうなれるなんて、夢みたい。けど…あたしだけ気持ち良くなってごめん。今度はあたしが美希に…してあげたいな」 振り向きながら恥ずかしそうに微笑むラブ。 「ありがとう…じゃ、続きはラブの部屋でじっくりと…ね?」 狭い湯舟の中での口づけ。最高。ああ…頭がぼーっとする。本当に湯あたりしそうだわ…。 「美希たん!反対側からも鼻血が!」 了
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1174.html
(モミジ狩りって、モミジの葉っぱを集めるって意味じゃないのね。) ラブとあゆみに付いて細い坂道を上りながら、せつなは心の中で呟いた。 家族でキノコ狩りに行ったの、とクラスメイトの由美が話していたのは、先週のこと。獲物が動物じゃなくて植物などを採集するときにも「狩り」と言うのだと知ったのは、そのときだ。 四つ葉町から少し離れたこの丘陵は、せつなには初めての場所だった。丘の斜面は雑木林になっていて、木々はそれぞれの秋の色に染まっている。 「きれいでしょ?せつな。ンフフ~、あのねぇ、この丘のてっぺんまで上がるとね・・・」 「ラブったら!それ以上言っちゃ駄目よ。せっちゃんをびっくりさせるんでしょう?」 キラキラした目で嬉しそうにせつなを振り返るラブを、あゆみがやんわりとたしなめる。せつなは怪訝そうな、でも期待に満ちた眼差しで、二人の顔を交互に見やる。一番後ろからのんびりと歩いてきた圭太郎は、そんな三人の様子を、ニコニコと見守った。 今日は勤労感謝の日で、学校はお休み。圭太郎の発案で、四人はお弁当を持って、この丘陵にピクニックにやって来たのだった。 (占い館があった森より、ここはずいぶん明るいのね。) 物珍しそうに木々を眺めながら歩いてきたせつなが、さっと差し込んだ日の光の眩しさに、思わず額の前に手を翳す。その顔が、フッと柔らかくほどけるように笑顔になった。ちょうど頭の上にあったモミジの枝が、せつなとハイタッチでもするかのように、小さな赤い掌を振っている。 「ああ、このモミジは特に色がいいなぁ。見事な赤だ。」 すぐ後ろから聞こえる、圭太郎の穏やかな声。せつなは振り向いて笑顔を返してから、挙げていた手を静かに下ろした。 「ねえ、お父さん。」 「なんだい?せっちゃん。」 柔らかく包み込んでくれるような声に励まされて、せつなはここへ来てからずっと感じていた想いを、思い切って口に出してみる。 「紅葉って凄く綺麗だけど、これが終われば、木の葉は全部落ちてしまうんでしょう?そう思うと、何だか寂しい気がするんだけど・・・。」 「そうだな。」 圭太郎がせつなの顔を見て、静かに頷く。そして不意に悪戯っぽくニヤリと笑うと、ガサガサと落ち葉を踏んで、林の中に分け入った。 「こっちに来てごらん、せっちゃん。」 一本の木の下にしゃがみ込んだ圭太郎が、せつなに向かって手招きする。不思議そうな顔でやって来るせつなを待ってから、圭太郎は足元の落ち葉を、そっと掻き分けた。 しばらくすると、表面の落ち葉とは違う、少し湿って黒ずんだ葉が現れる。 「これは、去年の落ち葉だな。」 「去年の?」 「ああ。去年の落ち葉の下には、一昨年の落ち葉。その下には、その前の年の落ち葉。そのまた下には、何があると思う?」 「・・・・・・?」 不思議そうに小首を傾げるせつなを、圭太郎は柔らかな光を湛えた目で、静かに見つめる。 「土だよ。栄養がたっぷり詰まった、真っ黒な土だ。落ち葉はね、冬の寒さから木の根を守りながら、地面に住む虫たちによって、何年もかかって、豊かな土になるんだよ。 その栄養で、木はまた新しい芽を出して、たくさんの葉を茂らせる。そうやって、自然は何ひとつ無駄にしないで、幸せを繋いでいくんだ。」 「幸せを、繋ぐ・・・。」 噛みしめるように呟くせつなに、圭太郎は力強く頷いてみせる。そして少しおどけた調子で、こう言った。 「そうだ。落ち葉のご馳走が食べられて、虫たちも喜ぶ。きれいな花や若葉や、こ~んな見事な紅葉が見られて、僕たちも喜ぶ。それに当然、木も喜ぶ。みんなで幸せ、グッドだよ~、ってね。」 圭太郎はズボンの落ち葉を払って立ち上がり、得意そうな顔で、せつなに右手を差し出す。 (お父さん、それを言うなら、幸せゲット、でしょ?) そう口に出して言うのは恥ずかしくて、せつなはただクスッと笑って、圭太郎の手を取り、立ち上がった。 二人でまた落ち葉を踏みながら、元の道へと戻る。ラブとあゆみは、坂の少し上の方で立ち止まっていた。どうやら薄くて柔らかなモミジの落ち葉を、日に透かして遊んでいるらしい。 「この木たちに比べれば、僕なんか、まだまだだなぁ!」 突然、圭太郎の声に熱がこもったのを感じて、せつなが目をパチクリさせる。 「ああ、ごめんな、せっちゃん。つい、仕事のことを考えちゃってね。 軽くて、涼しくて、水にも強くて、被っている人が幸せになれるような、最高のカツラを作りたいって頑張っているけど、それだけじゃない、地球にも優しいカツラを作りたいって思ってるんだ。いつか、必ずね。」 まるで少年のようにキラキラと光る目をして、圭太郎がまた、ニヤリと笑う。 (お父さんって、お仕事の話になると、何だかダンスの話をしているラブそっくりになるのね。) せつなはしばらくの間、黙って自分が踏みしめる落ち葉の音を聞いていたが、やがて意を決したように、顔を上げた。 「お父さん。」 「ん?」 「私・・・お父さんならきっと、作れると思うわ。」 言ってしまってから、モミジにも負けないくらいの真っ赤な顔で俯くせつな。その頭に、圭太郎はそっと手を置いて、ポンポンと二回、優しく叩く。 「ありがとう、せっちゃん。そうさ。まだまだ、挑戦はこれからだからな。」 やっぱり熱く言い切る圭太郎の顔を、せつなはそろりと上目遣いに見上げて、うん、と恥ずかしそうに頷いた。 やがて、坂道も終わりに差し掛かった。少し先で待っていたラブとあゆみも一緒に、最後の急勾配を上りきると、目の前がぽっかりと開ける。そこに広がる景色に、せつなは思わず息を飲んだ。 眼下に見えるのは、コンクリートで囲まれた小さな湖だった。水力発電のための人工湖だと、圭太郎が説明してくれる。その湖の向こう側に見える山肌は、まさに自然が描き上げた、一枚の絵だった。 黄色に、褐色。朱色に、深い赤。そしてところどころに見える、渋みを増した緑――。 まるで空の巨人が、山というキャンバスに、気まぐれに絵具を落としたかのよう。様々な色彩が主張し合い、でも不思議と調和を保って引き立て合っているその姿を、小さな湖面がくっきりと映し出す。 まさに山と湖とが一体となった光景が、燦然たる輝きを持って迫って来る。 「きれいだね。せつなに見せたかったんだ、この景色。」 声も出せず、ただ景色を食い入るように見つめているせつなの腕に、ラブが嬉しそうに腕を絡めた。せつながやっと呪縛から解かれたように、深々と息を吐き出す。 「う~ん、まさに錦繍だな。」 「きんしゅう?」 まだ夢見心地の顔で、圭太郎の言葉をオウム返しに呟くせつなに、あゆみと圭太郎が、揃ってニコリと笑った。 「まるで豪華な錦みたいに、色鮮やかで美しいってことよ。」 「ああ。本当はこっちが本家で、錦の方が真似したんだと思うけどね。」 笑顔で説明してくれる二人の顔を交互に眺めてから、せつなはやっと笑顔になって、もう一度自然の錦を見つめる。 ふと、新たな疑問が泡のように心に浮かび上がった。 「ねえ、お父さん。」 優しい視線を返す圭太郎の顔を見つめて、せつなはもう一度心にある問いを投げかける。 「私たちは、こんな景色が見られてとっても幸せだけど、紅葉って、木にとっては、一体どんな良いことがあるの?」 「あら。そう言えば、そんなこと知らないわね。」 「ホントだ。ねえ、お父さん。知ってる?」 あゆみとラブにも期待に満ちた眼差しを向けられて、圭太郎は困った顔で頭を掻く。 「うーん、それはね。実はまだ、ハッキリとは分かっていないらしいんだ。」 「あ、そうなの・・・。」 「へぇ、そうなんだ・・・。」 少し残念そうなせつなと、意外そうに目を見開くラブ。そんな二人を見つめて、圭太郎の声が、また熱を帯びる。 「でも、これだけは言えるぞ。まだ人間には分かっていなくても、もちろん木にとっても、きっと何かとっても素敵なことがあるのさ。自然の営みに、無駄なことなんてひとつも無いんだから!」 「う、うん。」 気圧されたように頷くラブと、それを聞いて嬉しそうに微笑むせつな。圭太郎は大真面目な顔で、最後のダメを押す。 「ほら、ラブがいつも言ってるだろう?みんなで幸せ、グッドだよ~、ってね。」 「お父さぁん、ゲットでしょう?もう、肝心なところで間違えるんだから。」 苦笑いをするあゆみの隣りで、せつながクスクスと笑い出す。それを見て、ラブもあゆみも、そして圭太郎も、一斉に笑顔になった。 「さあ、この景色を見ながら、お弁当にしようよ!」 ラブが、再び目をキラキラさせて、三人の顔を見渡す。その言葉を聞いて、せつなも嬉しそうに頷いた。 二人が下げているお弁当の中身――それは、ラブとせつなの特製ちらし寿司だった。 薄く切った酢蓮根に、甘辛く煮た椎茸、焼いてほぐした秋鮭の身。ラブが色良く焼き上げ、せつなが糸のように細く切った錦糸卵。彩りに、さっと湯がいて食べやすく切ったホウレンソウ・・・は、今日は可哀そうだから小松菜を使って、酢飯の上に鮮やかに盛り付けたもの。 あゆみが母から教わったものを、ラブに教えてくれた料理だと言う。 (ラブはきっと、この景色を思い浮かべながら作ったのね。お父さんとお母さん、どんな顔するかしら。) せつながそう思いながら、もう一度湖の向こうを眺めたとき、得意げなラブの声が、耳に飛び込んできた。 「今日のお弁当は、あたしとせつなが愛情パワー全開で作ったからねっ!お父さんもお母さんも、開けてびっくりだよ~。あのね、すっごく綺麗な・・・」 「ちょっと、ラブ!駄目よ、全部しゃべっちゃ。お父さんとお母さんを、びっくりさせるんでしょう?」 せつなに睨まれて、ラブが慌てて口をつぐむ。それぞれがまるで違う色を持っているのに、何故か双子のような二人の娘。その輝きに、圭太郎とあゆみはそっと目と目を見交わして、幸せそうに笑った。 ~終~
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/728.html
せつな「これがお雛様ね、桃の花も素敵。ひな祭りって綺麗ね」 あゆみ「ラブのは桃色。せっちゃんのお雛様は赤い衣にしたのよ。 お雛様はね、自分の災厄を変わりに引き受けてくれるの」 ラブ「ひな祭りはね、女の子のお祝いの日なんだよ」 圭太郎「お父さんは寂しいなあ」 せつな「おとうさん、白酒どうぞ、散らし寿司とお吸い物は私とラブで作ったのよ」 圭太郎「お父さんは幸せだなあ」 あゆみ「まあ、どっちなのよ、お父さんたら。 でも、このお吸い物、はまぐりの出汁が効いてて美味しいわね」 せつな「どうしてはまぐりを使うの?」 あゆみ「二枚貝はね、対の貝殻しか絶対に合わないの。 相性の良い相手とめぐり会えますようにって祈りをこめて食べるのよ」 ラブ「あたしたちはもうめぐり会えてるもんね、せつなっ」 せつな「私とラブはぴったり合うわ。初めて会った時からそう思ってた」 あゆみ「そういう意味じゃないんだけど、あななたちらしくていいわね」 ラブ(ごにょごにょ)「今晩、あたしたちで貝合わせしようか?」 スパーン! せつな「良い話を台無しにしないで!」
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/522.html
クローバーの四人はダンスレッスンの後、シャワーを浴びて着替え中。 ミユキが手配してくれたスタジオはシャワーは二つしかない。 まずせつなと祈里。今はラブと美希が使っている。 そして、ロッカールームでの事。 「ねえ。せつなちゃん、ちょっといい?」 むにゅっ!! 「へ?ちょっ!!ーー何っ?!」 むにゅっ!むにゅっ!むにゅっ! 祈里がせつなの胸をブラの上から無遠慮なまでに揉みしだく。 今にもブラの中まで手を突っ込みそうな勢いだ。 「ちょっ、ちょっと!ブッキー!!」 「やっぱり!」 「何がっ!?」 「感触がね!全然違うのっ!」 「…………は?」 祈里は両手でせつなの胸を鷲掴みにしながら、キリッとばかりに顔を上げる。 「前から思ってたのね。せつなちゃんのおっぱいってさ、 こう、おっきいんだけどプルンとした感じって言うの? なんかね、わたしとは違うなぁって! どこがどうって上手く言えないんだけどさ……」 軽く興奮気味にまくし立てる祈里。 要するに、触って見たかった…と言う事らしい。 「……そ、そんなに違う?」 胸なんて、大きさ以外そんなに違いなんてあるものなの? 「違うんだって!ほら、わたしの触って見て!」 「…う、うん。じゃあ…。」 何でこんな事に?と思わないでもなかったが、取り敢えず 祈里のパステルイエローのブラに包まれた膨らみに手を伸ばす。 (でも、ホント大きいわよね。私も結構ある方みたいだけど、これはすごいわ……) ふにっ! 「あっ!」 「ね?」 「……うん。すごく、柔らかい…。」 「そーなの。せつなちゃんのおっぱいはさ、 柔らかいけどみっちり詰まってるって言うか…。 弾力があるんだよね。」 「ブッキーは…、何かふわふわしてる。」 「つきたてのお餅みたいだよ。せつなちゃんのおっぱい。 モチモチしててあったかい……。」 「これ、何だろう……?あっ!」 せつなはこの間ラブと食べたシフォンケーキを思い出した。 ふんわり柔らかいのにコシのある感触がそっくりだ。 「はぁ~。なるほど。わたしはスポンジ系。せつなちゃんはお餅系って訳ね。」 「ね、美希は?わざわざ私の触りに来るって事は、 美希もブッキーみたいな感じ?」 「そーなの。だいぶちっちゃいけど。ラブちゃんは?」 「ラブも私と同じ系統かしら。でも最近あんまり触ると痛がるのよ。 芯があるって言うか、この頃急に大きくなってきたのよね。」 「カップいくつ?美希ちゃんはAだけど。」 「Aってほとんどペッタンコじゃないの?」 「それがそーでもないの。アレはアレでなかなか……」 「ちょっと………ブッキー……」 「…………せつな……」 シャワーから帰って来たラブと美希が目にしたのは、 半裸でお互いの胸をまさぐり合う自分達の恋人の姿。 この子達は一体何を……。 思考停止しかけている二人のを見て、きょとんとするせつなと祈里。 そしてせつなは急に目をキラキラと輝かせて美希に迫って来た。 その顔に浮かんでいるのは純真な好奇心。 しかし、美希にはそんな事は理解出来るはずもなく…。 「美希!ちょっといい?」 言うが早いか、せつなは美希のTシャツを捲り上げ、その小ぶりな乳房を 手のひらで包み込む。 「!!ちょーーーっ!ちょっ!ちょっ!何なのよ?!」 「……ブッキー、ブラの上からじゃ分からないわ…。」 「あー…。美希ちゃん、ちっちゃいから……。 あっ、ラブちゃん、いい?」 祈里は地蔵の様に固まっているラブの胸元に、遠慮なく手を突っ込む。 「ふぇっ!?ーーー何何何何?」 「ホント!せつなちゃん系?ぷりぷりしてる!」 「ちょっと、ブッキー!イタイイタイ!!」 ゴツン!!!と鈍い音がして、せつなと祈里は頭を抱えてうずくまった。 ゲンコツを落とされたのだ。 「………つまり、胸の触り心地について研究し合っていた、と?」 「…ハイ。」 「その通りです。」 「まあまあ、美希たん。何も変なコトしてたワケじゃないんだし……」 「じゅーーっぶん、変でしょっ?!」 せつなと祈里は美希の前に正座させられ、ラブは美希の剣幕にヒッ!と 首を竦める。 (しかも、何?ブラの上からじゃ分からないって!) 「あー、でもさ美希たん。あたしもちょーっと興味あるかな~?なんて?」 「はあ?」 「イヤ、美希たんは気にならない? ねぇ、そんなに違った?」 ラブがせつな、祈里に話を振るとコクコクコク!と二人が頷く。 「何よ、触りたいワケ?ブッキーの。」 「ホラ、美希たんもせつな触っていいからさ!」 「ちょっと、ラブ!何勝手に……」 「「黙んなさい!」」 ラブと美希は目配せして、せーの!とばかりに目の前の二人に手を伸ばす。 「わはっ!何コレ?」 「あんっ!ラブちゃん、くすぐったい!」 「ちょっと美希!ブラの中まで触んないで!!」 「せつながブラの上からじゃ分からないって言ったんじゃない!」 「それは大きさのせいでしょっ?!」 そして、引きつった声が少女達の狂乱を遮った。 「………あなた達……何やってるの……?」 ほとんど下着だけの姿で息も荒く胸を触り合う四人の後輩を前に、 立ち尽くすしかないミユキ。 そんなミユキを見て、四人の小悪魔は申し合わせた訳でもないのに 同時にニヤリと口角を上げる。 「ミユキさぁん。ちょっといいですかあ?」 語尾にハートを付けたラブが代表でミユキに魔の手を伸ばす。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/835.html
アカルンを起動したせつなが、祈里を連れて来た場所。 そこは海だった。 優しく打ち寄せる波が、夕焼けに紅く染められていく。水平線には今にも陽が落ちようとしていた。 せつなは心の中で呟く。 美希、疑ぐった上に置き去りにしちゃってごめんなさい。ラブ、私たちのことを考えてくれてあんな嘘を……。ふたりとも、ありがとう。 「ここは……?」 祈里はキョロキョロと廻りを見渡すと、せつなに向き直した。 「覚えてる?一年くらい前に来た場所よ。 私にとって、とてもとても大切なところよ」 せつなは祈里を見つめながら、話し始める。 「あの日、あなたはあたしに優しくしてくれた。笑ってくれた。一緒に踊ってくれた。 あの時から、私の胸の中には……ずっと、あなたがいた」 「せつなちゃん……」 「ほんとうはね、あなたを連れてきて、ここで言うつもりだったの――――私の本心を。さっきの場所じゃなく」 少しでも時間があればここに来て、何度も何度も練習していた言葉。 せつなはそれを頭に思い浮かべる。 ずっと胸に抱いていた思いを、今、余すことなく祈里に伝えたい。 「祈里、あなたがいてくれれば、私どんなことだってできるわ。 逆に、あなたがそばにいなかったら……そう考えるとすごく怖くなる。 それだけ私にはあなたが必要なの。だから……これからも、ずっと一緒にいてほしい」 祈里は喉元に手をあてた。胸が痛いくらいに熱い。 嗚咽が込み上げ、息ができない。何も言えないことが、こんなにももどかしくて、心苦しいなんて。 「わ、わたし……」 しゃくり上げて涙で瞳を濡らしている祈里を見ていれば、せつなには彼女の言いたいことがすぐに理解できた。 「イエスなら、ただうなずいてくれればそれでいいわ」 祈里は慌ててうなずく。真ん丸に見開かれた大きな目に、せつなが映り込んでいる。 せつなは不思議だった。想い出の場所で、祈里の瞳に映る自分をこうして見つめている。 そうして、目の前にいる祈里もまた、せつなの瞳に映る自分を、恥じらいながら見つめていた。 誰もいない波打際で、ふたりの少女の影が、ゆっくりと近づいていき、やがて重なり合った。 初めて触れるくちびるの柔らかさに戸惑いながらも、ふたりはこれ以上ないくらいの幸せに包み込まれていた。 くちびるが離れても、身体は離れることはなく、まだ互いを強く求めるかのように抱きしめ合ったままのふたり。 「嘘みたい……。これって、夢じゃないよね? わたし、ずっと、せつなちゃんとこうなりたいって願ってた。 あんまり強く望みすぎて、わたし今、夢見てるんじゃないのかな」 今ようやくせつなの心を実感しながらも、やはりどこか信じられない祈里はせつなを見上げた。 その拍子に瞳に溜まっていた涙が、ひとすじこぼれ落ち、それをせつなが細い指で優しくぬぐう。 「まったくもう。私の一世一代の告白を夢にしちゃうなんて、困ったお姫様ね。 いったいどうすれば信じてくれるの?」 「……もう一度……」 「え?」 祈里は消え入りそうな小声で、心の底から欲しいものをねだる。 「もう一度、キスしてく」 最後まで言わせずに、せつなは祈里のくちびるをついばんだ。 甘い口づけを落としながら、祈里の柔らかい身体を、きつくきつく、かき抱く。 そうされていると、どこかに跳んでいってしまいそうな感覚になり、祈里は思わず、せつなの背中に両腕をまわし力を込めた。 「これで信じてくれた?」 熔けそうに熱いくちびるをようやく離すと、せつなは悪戯っ子のような笑顔で言った。 「ああっ!せつなちゃん、信じるから離さないで、お願い……立てないよ」 せつなの背中にしがみつこうとするが、まわした腕に力が入らない。 祈里の身体からは、力がすっかり抜けてしまっている。 よろめきそうになる祈里を、微笑みながら支え直すと、せつなは三度(みたび)、口づけた。 最後のキスは、愛しさを込めてゆっくりと、とろけるように。 「はい、今日の分はこれでおしまい。続きはまた今度ね。 さあ、帰りましょう。私たちの街へ」 「……うん!」 まだ熱をおびたままの祈里の頬を、心地良い潮風が穏やかに冷ましてゆく。 この場所を去ることは寂しいが、またふたりで来ればいい。 それに、例えどこに行こうと、せつなはそばにいてくれる。心からそう感じられる 。 これから待ち受けているであろう、せつなとの数多の日々を思うと、祈里の胸の高鳴りはおさまりそうもなかった。 一方、先程の公園のベンチでは、ラブが美希の膝上に座り、そのほっそりとした美しい首に腕を廻していた。 「美希、重くない?」 「平気よ。ラブだから平気なの」 「嬉しい……」 美希の胸に顔を埋めて、ラブは彼女の香りを胸いっぱいに吸い込む。 爽やかで清々しくて、それでいて、少しだけ頭の芯が痺れるような、彼女だけの香り。 その香りが放つ魔力に惑わされっぱなしのラブに、美希は妖艶に微笑みかける。 「ラブ……こっち向いて……」 胸元の恋人に、何度目になるのかわからないキスを求めようとした矢先、美希の目の前に紅い閃光が現れて、消えた。 光の消えた場所にはせつなと祈里が、満足そうな表情を浮かべて立っている。 だが、せつなはすぐに美希とラブの姿態を見とがめて言った。 「こら!いつまでもいちゃいちゃしてないの。さ、帰るわよラブ」 「えー!帰ってくるの早いよせつなー!お願い、もうちょっとだけ」 「お母さんが心配するから駄目」 「そんなー」 ガックリと肩を落とすラブの頭を、美希の手がいい子いい子と慰めた。 そんな3人を見て、祈里はとても愉快そうに笑った。 ひとしきり笑い終えると、3人にいとまを告げる。 「せつなちゃん、今日はどうもありがとう!――――とっても嬉しかったよ」 「どういたしまして。私も嬉しかったわ」 「美希ちゃんとラブちゃんもありがとう。また、ね!」 ぴょんぴょんと跳ねるように軽やかな足取りで家路につく祈里を、眩しそうに見送っているせつな。 それは、祈里の姿が見えなくなるまで続いた。 そんなせつなをからかうように、美希とラブはニヤニヤしながら矢継ぎ早に質問をする。 「ねぇ、上手くいった?」 「何のこと?」 「キスくらいはしたんでしょ?」 「さあ、どうかしら」 せつなは薄く笑いながら、するりとかわすようにはぐらかしてゆく。 とても言えないわ。もったいなくて。 それに、誰かに話してしまうと、夢になってしまうような気がするから。 あの波打際で口づけた祈里が、泡になって消えてしまうような気がして……。 だから、決めた。誰にも言わない秘密にすると。 胸の一番奥にある鍵のかかる綺麗な箱。 せつなはその中に、海辺での出来事を人知れずしまい込んだ。 その鍵を持っているのは、この世にたったひとり。せつなが愛してやまない少女だけ。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1012.html
【6月21日】 『待ってなどいないよ』 サウラー「雨は静かで良い。ウエスターも静かにしてくれればいいのに……」 サウラー「今日は静かだね、出かけているのか」 サウラー「もう夕方なのに帰ってこないね、心配なんてするわけないが」 サウラー「今日は静かだね、読書がはかどるよ」 サウラー(早く帰ってこないかな……) 【6月22日】 『期待されてるような気がして』 ラブ 「今日はおとうさんの作ったカツラのモデルになるの! 可愛いカツラなら良いけどなぁ……」 圭太郎「まずは、これとこれからだ」 ラブ 「これはまた立派なアフロ……。こっちは勇ましいチョンマゲ……ってなんでよっ!!」 圭太郎「いや、お約束というか、ラブが喜ぶかと思って……」 ラブ 「喜ぶわけないから!」 せつな「くくくっ、くっくっくっ……」 圭太郎「ほら、せっちゃんは喜んでるじゃないか」 ラブ 「馬鹿にされてるだけだから……」 圭太郎「せっちゃんにはこっちだ。流行のファッションウィッグだ」 ラブ 「だから、なんでよ!」 【6月23日】 『雨の日のしっかり屋さん』 タルト「カタツムリって、なんや、のんびりしとって可愛いなぁ」 祈里 「お天気なのに頭を出しているでしょ、きっと明日は雨よ」 タルト「カタツムリが天気当てるんかいな?」 祈里 「うん、反対に殻に閉じこもっていたら翌日は晴れると言われてるの」 タルト「大人しいようで色々考えとるんやなあ」 せつな「誰かさんとは反対ね」 タルト「ほっといてぇな!」 【6月24日】 『美希の一番輝く瞬間』 美希 「可愛い傘を見つけたの。雨の季節だっておしゃれは完璧よ!」 ラブ 「ホントだ! 美希たんすごく似合ってるよ」 祈里 「傘の合間からチラッと見える美希ちゃんの美貌、見惚れちゃう」 美希 「もう! 誉めすぎよ」 せつな「私はおしゃれはよくわからないけど、美希の嬉しそうな笑顔は大好きよ」 【6月25日】 『十倍の美味しさ』 カオルちゃん「雨の日はドーナツをサービスしちゃうよ。美味さ十倍ね! ぐはっ」 タルト「十倍って、またそんな大嘘ついて……」 女の子「じゅうばいのドーナツひとつください」 カオルちゃん「お嬢ちゃん、家族は何人いるの?」 女の子「よにん!」 カオルちゃん「はい。じゃあ、これはサービス」 女の子「よっつも! いいの?」 カオルちゃん「みんなで食べれば美味しさは十倍だよ。これはホントのホント」 女の子「うんっ! ありがとう!」 タルト「カオルはんが天使っちゅうのも、ホントのホントかもしれへんなあ……」 【6月26日】 『天然?』 祈里 「雨が降ると、カタツムリさんたちが嬉しそうにお散歩するわ」 せつな「ブッキーはカタツムリにまでさん付けするのね」 祈里 「うん。命に優劣なんてないと思うし」 ミユキ「おはよう! 祈里ちゃん、せつなちゃん、仲良くお散歩?」 祈・せ『おはようございます!』 ミユキ「わぁ~綺麗な紫陽花ね。カタツムリ君も嬉しそう!」 祈・せ(ミユキさんもだ……っていうか君付けなんだ……) 【6月27日】 『大の仲良しです』 キュアベリー「響け! 希望のリズム! キュアスティック・ベリーソード!!」 せつな「これが幻のアイテム、ベリーソードねっ!」 美希 「幻じゃないってば!」 祈里 「ちょっと出番少なかったよね」 美希 「ブッキーまで言う!?」 ラブ 「おとりに使ったこともあったね」 せつな「もしかして……ブルンと仲悪いの?」 美希 「悪くない!」 【6月28日】 『たまには甘えたくて』 ラブ 「雨が降るのはいいんだけど、あたし、雷だけは苦手なんだよね~」 せつな「それで私の部屋に逃げてきたってわけね……。ラブにも恐いものあるのね」 ラブ 「そりゃあるよ。他にも勉強とかニンジンとか……」 せつな「それは恐いんじゃなくて苦手なものでしょ、まったく」 ラブ 「たはは、そうとも言う――――って、きゃあああ!!」 せつな「はいはい、今夜は一緒に寝ましょ。可愛いラブの一面が見れてよかったわ」 【6月29日】 『楽しい気持ちを忘れない』 ミユキ「雨の日は家でのんびり、音楽を聞いて過ごすのが好きなの」 ラブ 「やっぱりすごい! いつどんな時もダンスを忘れないんですね」 ミユキ「そうじゃないのよ、ただ好きなだけよ」 美希 「ただ好きなだけ。それが成功の秘訣なんでしょうか?」 ミユキ「どうかしらね。でも、常に楽しみ方を工夫する気持ちは大切よ」 四人 『ハイッ!!』 【6月30日】 『あ~した天気にな~あれ』 せつな「雨が止むように、てるてる坊主を作って窓に飾ったわ」 ラブ 「せつなも雨はいやなんだ」 せつな「それもあるけど、一度作ってみたかったの」 ラブ 「そっか、ラビリンスでは天気まで決まってたんだ」 せつな「便利なんだけどね、空を見て一喜一憂するのも悪くないものよ」 新-151へ